DX人材への転職を考えたとき、多くの人が最初にぶつかる壁は「実績がない」という不安です。エンジニア経験もなく、目立つプロジェクトに関わったこともない場合、職務経歴書に何を書けばいいのか分からなくなります。

ただ、DX人材として評価される実績は、必ずしも大きなシステム開発や有名プロジェクトである必要はありません。ここでは、未経験からDX人材を目指す場合に作るべき実績の種類と、その見せ方を整理します。
DX人材に求められる評価軸
DX人材の評価は、技術力よりも「業務をどう変えたか」で見られることが多いです。代表的な評価軸は次の4つです。
| 評価軸 | 見られるポイント |
|---|---|
| 課題発見力 | 業務の中のムダ・ミス・属人化をどれだけ具体的に見つけられたか |
| 構造化力 | 業務フローや課題を整理し、誰が見ても分かる形にできたか |
| 実行力 | 改善案を実際に試し、形にできたか |
| 説明力 | 課題・施策・効果を、相手に分かる言葉で説明できたか |
この4つは、いずれも「プログラミングができるか」とは別の力です。未経験者でも、自分の今の業務の中でこれらを発揮した経験があれば、十分にアピール材料になります。
実績その1:業務フロー整理
DX人材としての実績作りで最初にやるべきは、自分の業務フローを整理することです。
進め方は次の通りです。
- 毎日・毎週やっている作業をすべて書き出す
- 「誰が」「いつ」「何のツールで」「何を判断しているか」を整理する
- 時間がかかっている作業、ミスが起きやすい作業に印をつける
- 改善できそうな部分と、人の判断が必要な部分を分ける
この整理を1つの業務でもやり切ると、「業務フロー図」「課題一覧」という形で残せます。これは職務経歴書に添付できる実績になり、面接でも「どう考えて整理したか」を具体的に話せる材料になります。
実績その2:要件定義の基礎を使った改善提案
「要件定義」という言葉は専門的に聞こえますが、未経験者でも応用できる考え方です。
業務改善の要件定義では、次の観点を整理します。
- 現状の業務フロー
- 困っていること・課題
- 改善したい範囲
- 必要な機能・仕組み
- 例外的なケース(イレギュラー対応)
- 運用後の確認方法
たとえば、「請求データの確認作業を改善したい」という場合、現状のフロー、ミスが起きやすいタイミング、改善後にどう確認するかまでを整理したメモを作るだけで、立派な要件定義の練習になります。
このメモを「業務改善提案書」としてまとめ、実際に社内で提案・実施できれば、それ自体が実績になります。実施できなかった場合でも、「整理して提案した」という経験は、DX人材としての考え方を持っていることの証明になります。
実績その3:小さな自動化・効率化の実例
完成度の高いシステムでなくても、次のような小さな改善は実績として説明できます。
- Excelの関数・マクロで集計作業を半自動化した
- Googleスプレッドシートで進捗管理表を作り、確認の手間を減らした
- 社内マニュアルやFAQを整理し、新人が自分で調べられる状態にした
- 問い合わせ内容を分類し、対応の優先順位をつけられるようにした
ポイントは、完成度よりも「課題・施策・効果」をセットで説明できることです。
- 課題: 何にどれくらい時間がかかっていたか
- 施策: 何をどう変えたか
- 効果: 時間・ミス・確認漏れがどう変わったか
- 次の課題: さらに改善できる余地はどこにあるか
この4点を整理したメモが、そのままDX転職用のポートフォリオになります。
実績の見せ方:ポートフォリオの作り方
未経験者がDX人材としてのポートフォリオを作る場合、次の構成が伝わりやすいです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | 何の業務を改善したか一言で |
| 背景・課題 | 何に困っていたか、どれくらいの頻度・時間か |
| 取り組んだこと | 整理した業務フロー、作った仕組み、提案した内容 |
| 工夫した点 | 例外処理、確認方法、関係者への説明など |
| 効果 | 時間・ミス・確認漏れの変化(数値が出せれば数値で) |
| 今後の課題 | さらに改善できる余地、運用上気をつけている点 |
会社の機密に触れる内容は、社名や具体的な数値をぼかし、「ある程度の効果があった」という表現に置き換えても問題ありません。重要なのは、考え方のプロセスが伝わることです。
社内提案で評価されるための伝え方
実績を社内で提案する場合、いきなり「システムを作りたい」と言うより、次の順序で伝えると受け入れられやすくなります。
- 現状の課題を、関係者が共感できる形で説明する(時間・ミス・属人化など)
- 小さく試せる改善案を提示する(大きな投資を求めない)
- 試した結果を共有し、次の改善につなげる
この「小さく試して、結果を共有する」というプロセス自体が、DX推進担当に求められる進め方そのものです。社内で実践できれば、転職時にもそのまま実績として説明できます。
まとめ
未経験からDX人材を目指す場合、必要なのは大きなシステム開発の経験ではなく、「業務フロー整理」「要件定義の基礎を使った改善提案」「小さな自動化・効率化の実例」という3つの実績です。
これらは、今の仕事を続けながらでも作れます。完成度よりも、課題・施策・効果を具体的に説明できる状態にしておくことが、未経験からDX人材へ転職する際の最大の武器になります。
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