社内の収支データをスプレッドシートで管理し、毎回手作業で集計・確認していると、確認の手間が増え、最新の状況が分かりにくくなります。この記事では、GAS(Google Apps Script)を使って収支ダッシュボードをウェブアプリ化した事例と、その中で「作ったが使っていない」AI機能について紹介します。

ダッシュボード化の概要
収支データをスプレッドシートで管理したまま、GASでウェブアプリ化し、関係者がいつでも最新の状況を見られる仕組みを作りました。
- スプレッドシートのデータを、GASでウェブアプリとして表示する
- グラフや表で、収支の推移を確認できるようにする
- 関係者がスプレッドシートを直接開かなくても、必要な情報だけを見られるようにする
スプレッドシートでの管理自体は変えず、「見る場所」をダッシュボード化することで、データ入力の運用は変えずに確認のしやすさだけを改善できました。新しいシステムをまるごと作るのではなく、既存のスプレッドシート運用の上に必要な機能を追加する形です。
AIコメント機能を実装した理由
ダッシュボードを作る過程で、収支の数値に対してAIが自動でコメントを生成する機能も実装しました。
- 「先月より支出が増えている」「この項目の比率が高くなっている」のような所感を自動生成する
- 数値だけを見るより、コメントがあった方が状況を把握しやすいと考えた
技術的には動く状態まで作りましたが、実際の運用では使っていません。
使わなかった理由
AIコメント機能を見送った一番の理由は、学習面での懸念です。
- 収支データという、扱いに慎重さが求められる情報をAIに渡す範囲をどう決めるか
- コメントの内容を、誰がどこまで責任を持って確認するか
- 自動生成されたコメントだけを見て判断する人が出てくるリスク
数値の集計や表示は「事実をそのまま見せる」機能なので問題になりにくいですが、「数値に対する解釈・コメント」を加える機能は、判断の一部をAIに委ねることになります。経理・収支に関わるデータでは、判断の部分を安易に自動化しないという方針を優先し、機能としては作ったものの、本番では無効化したままにしています。
「作ったが使わない」という判断も自動化の一部
AI機能は「作ったら使う」ものだと思われがちですが、実際には「作って検証し、使わないと判断する」ことも、AI活用の一つの結果だと考えています。
- 技術的にできることと、業務として使ってよいことは別の判断
- データの性質(経理、個人情報など)によって、AIに任せてよい範囲は変わる
- 一度作った機能でも、リスクが懸念より大きいと判断したら無効化する選択肢を残す
「自動化できるかどうか」だけでなく「自動化してよいかどうか」を分けて考える視点は、収支のようなデータを扱う場面で特に重要になります。
今後の構想:BIツールのGCP環境への展開
今回のダッシュボードは、まずGASでスプレッドシートの延長として作りましたが、今後はGCP(Google Cloud Platform)環境でのBIツール活用も構想しています。
- データ量が増えたときに、スプレッドシートだけでは管理しづらくなる
- 複数のサービス・部署のデータを一元的に見られるようにしたい
- 権限管理やアクセスログを、より厳密に管理したい
最初から大きなBIツールを導入するのではなく、まずGASで小さく検証し、必要性が見えてきた段階で本格的な環境に移行する進め方を取っています。
まとめ
収支データのダッシュボード化では、次の視点が役立ちます。
- 既存のスプレッドシート運用を変えずに、ダッシュボードとして見る場所だけを改善できる
- 数値の集計・表示と、数値への解釈・コメントは、自動化の難易度とリスクが異なる
- 「作ったが使わない」という判断も、AI活用の検証結果として正しい選択になり得る
- 小さく検証し、必要性が見えた段階で本格的な仕組みに移行する
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